日米防衛協力に影響必至 陸上イージス配備停止

日米防衛協力に影響必至 陸上イージス配備停止

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時事通信

米軍の空母「ロナルド・レーガン」=2019年8月、マニラ湾(AFP時事)

 【ワシントン時事】北朝鮮の非核化が頓挫し、中国が着実に軍事力を高める中、日本の「イージス・アショア」配備計画停止は米国のアジア戦略にとって大きな誤算となった。  今後の国防計画や日米防衛協力に影響を与えるのは必至だ。トランプ大統領は、日本などへの武器輸出を外交成果として誇示してきた。顔に泥を塗られた形で、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の改定交渉などで対価を求められる可能性もある。  国防総省によると、中国は日本全域を射程に収める短・準中距離弾道・巡航ミサイルを1170~2490発保有する。米軍は北朝鮮の弾道ミサイルだけでなく、中国のミサイル戦力にも神経をとがらせてきた。  日本には現在、陸海空軍と海兵隊約5万5000人が駐留。世界で唯一母港が海外にある空母「ロナルド・レーガン」も配備されている。  米国にとっては、日本がイージス・アショアなど防空・ミサイル防衛能力に投資すれば、在日米軍の防衛が強化され、米軍の負担も減るという期待があった。だが、日本が配備計画を停止したことで、ミサイル攻撃を抑止するために別の手段を講じざるを得ない必要が出てくることになる。  今回の計画停止は、日本との防衛協力がすんなり進まないことを改めて印象付けた。米シンクタンク「新米国安全保障センター(CNAS)」のエリック・セイヤーズ非常勤上級研究員は「日本の(対中国)脅威認識が米政府が考えるほど変化していないことを示した」と落胆を表明した。  また、米軍は対中戦略の一環として、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線に地上発射型の対艦・対空ミサイルを配備することも計画している。秋田県へのイージス・アショア配備が地元住民の猛烈な反対に遭ったように、こうした攻撃型ミサイルの新たな配備が反発を受けるのは確実で、苦しい状況が続きそうだ。

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