新型コロナウイルスによる外出自粛で苦境に陥った地元飲食店や生産者の支援へ、全国各地の商工会議所が奔走している。インターネット物産展や人材マッチング、ネットで資金を募るクラウドファンディングなど、地域の力を結集してコロナ禍克服を目指す。
札幌商工会議所は、物産展中止などで在庫を抱えた生産者を支援するため、チーズやスイーツ、農水産品など自慢の逸品を紹介するウェブサイトを3月上旬に開設。2週間あまりで通販などによる売り上げは計1億円を超え、1日10件以上の掲載申し込みがあるという。
北海道の帯広商工会議所の「つなぐマルシェ」は、持ち帰りができる飲食店を紹介。フランス料理店「カーディナル」(帯広市)は前菜盛り合わせやコースメニューを「家飲み」向けに仕立てた。オーナーの加藤喜啓さん(41)は「生産者と連携し、十勝牛の赤ワイン煮など宅配メニューを考案中だ」と前を向く。
石川県の七尾商工会議所は若手が中心となり、地元向けの持ち帰り用と他県も対象の取り寄せ用の二つのサイトを開設。運営に関わる太田殖之さん(43)は「購入者がSNSで発信してくれ、さらに広がっている」と手応えを感じる。神戸商工会議所は、地元テレビ局の支援サイトと連携させて情報発信力を強化した。
長野県の塩尻商工会議所は人材マッチングで支援。休業中のホテル従業員を外国人技能実習生が確保できず困っている農家に紹介。現在、学生を含めて複数の相談が来ている。
仙台商工会議所の青年部などが呼び掛けた地元飲食店支援のクラウドファンディングには3月下旬から3週間弱で、目標の500万円を大きく上回る約2500万円が集まった。出資者はほぼ宮城県の住民や出身者という。日本商工会議所はこうした資金繰り支援策を全国展開する方針だ。
最終更新:5/2(土) 7:48
時事通信