福岡県は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の期間延長に伴い、休業要請などの影響を受けた失業者を対象にした緊急の雇用対策を新たに打ち出した。市町村には「今優先すべきは失業させないための支援だ」(福岡市)と異論もあったが、県側が押し切った。
「事業者へは様々な支援がある中で、これは個人に着目した制度だ」
小川氏は4日夜の記者会見で、こう胸を張った。
県の緊急雇用対策は、市町村と連携し、アルバイトの学生や留学生も含め失業した人を対象に医療機関での事務補助など短期の雇用を創出する。当面5~7月の3カ月程度で約7千人を雇用する。事業費約30億円のうち県が20億円、市町村が10億円を負担する。
県が市町村と協議を進める中で、異を唱えたのが福岡市だった。
同市も、新型コロナの影響で働く場を失った人への支援が必要であることに異論はない。しかし、休業要請を継続するのであれば、まずは雇用を維持するための支援が求められるとの考えだ。高島宗一郎市長は「失業が前提ではなく、失業させないようにしなければ」と危機感を募らせた。
県は、売り上げが減少した事業者に対して独自の支援金制度を設けているが、休業要請の継続に伴う追加の経済支援は「難しい」(小川氏)と消極的だ。
高島氏は4日に開かれたウェブ会議で、雇用対策ではなく、県が補助メニューを複数用意し、市町村の実情に応じて柔軟に使えるような制度の創設を小川氏に訴えたが、折り合いはつかず、最後は矛を収めざるを得なかった。
厳しい財政状況に加え、まだ国による追加の経済対策の具体像が見えていないという事情もある。しかし県議会関係者は漏らす。「これで果たして休業に協力してもらえるか。国を待たずに、まずは自分でできることに取り組むのが地方自治体の仕事なのに」(九州総局 小沢慶太、中村雅和)
最終更新:5/6(水) 16:23
産経新聞