総務省は20日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急経済対策に盛り込まれた現金10万円の一律給付の概要を発表した。国籍を問わず、4月27日に住民基本台帳に記載されている全ての人が対象となり、早ければ5月にも給付が始まる。これに先立ち、政府は持ち回りの閣議で、緊急経済対策と2020年度補正予算案を決定した。
総務省によると、申請は、市区町村から送られた申請書に振込口座を記入して返送する郵送と、マイナンバーカードを使ったオンラインによる受け付けが原則となる。
国内に住む日本人と、3か月を超える在留資格などを持ち、住民票を届け出ている外国人が対象で、給付の申請を受け付ける日程や給付時期については、今後、市区町村が決定する。総務省は人口規模の小さい市区町村であれば、5月にも給付が開始可能としている。
総務省が示した申請書の様式案では、世帯主が口座番号を記入し、1世帯分の給付対象者を申請する。申請書には申請者の免許証の写しなどを添付し、本人確認を行い、通帳やキャッシュカードの写しも添付する。世帯主の口座に1世帯分の給付金が振り込まれる。世帯の中で受け取りを希望しない人がいる場合は、申請書に記載すれば、給付されない。
申請期限は自治体の申請の受け付け開始から3か月以内としている。金融口座がない場合、新型コロナウイルスの感染防止策を講じた上で、市区町村の窓口での給付も行う。
高市総務相は20日の記者会見で、現住所と生活している場所が違う人の場合も、住民登録されている自治体で申請を受け付ける考えを示した。現在住んでいる場所と登録が異なっている家庭内暴力(DV)被害者への給付方法についても今後、検討する。
一方、緊急経済対策の財政措置は48・4兆円程度、事業規模は117・1兆円程度で、過去最大となった。27日に補正予算案を国会に提出し、早期成立を目指す。
今回の見直しでは、新型コロナウイルスの影響で収入が減った世帯への30万円給付を取り下げ、全国民一律の現金給付を追加した。補正予算案では前者の経費(4兆206億円)を削減し、後者の経費(12兆8803億円)を計上した。
補正予算案の歳出は25兆6914億円で、赤字国債の発行で23兆3624億円を賄う。20年度の新規国債発行額は当初予算と合わせて58兆2476億円となり、過去最大だった09年度(51兆9550億円)を上回る。
安倍首相は7日に緊急経済対策と20年度補正予算案を決定したが、与党の要請を受け、10万円の一律給付を行う方針に転じた。政府が一度閣議決定した予算案を組み替えるのは極めて異例の措置となる。
最終更新:4/21(火) 13:16
読売新聞オンライン