人口減や高齢化などで人手不足が続く秋田県内で、外国人雇用が10年連続で全国最下位となったことが秋田労働局の令和元年集計でわかった。全国でトップ水準の高齢者就業で人手を補う意識が強い半面、情報不足や言葉の問題から外国人雇用をためらう企業も少なくない。そこで同局と県は連携して外国人雇用の改善に乗り出した。
元年10月現在で同局がまとめた県内の外国人雇用状況で、外国人を雇用しているのは486事業所、就業中の外国人は2203人。ともに10年連続で全国最下位だった。
東北各県では、青森県が727事業所(平成27年は395事業所)、3901人(同1642人)、岩手県が907事業所(同572事業所)、5176人(同2822人)、宮城県が2268事業所(同1209事業所)、1万3587人(同6355人)、山形県が925事業所(同648事業所)、4496人(同2523人)、福島県が1719事業所(同1013事業所)、9548人(同4323人)。
最多の宮城県と比べて秋田県は事業所で5分の1、人数で6分の1。5番目の青森県とでは事業所で7割、人数で6割以下。過去5年の増加率も青森県が事業所で1・8倍、人数で2・7倍なのに対し、秋田県は各1・4倍、1・6倍にとどまる。
この少なさについて同局は「秋田県は高齢者の就業意欲、企業の雇用態勢とも全国トップ水準で、人手不足をまず高齢者で補おうとする傾向がある。半面、外国人雇用の経験や情報も、技能実習生の受け入れ元の監理団体も少なく、外国人雇用をためらう企業が少なくない」と分析する。
秋田県内の外国人労働者は、53・3%を技能実習生が占め、17・2%が教育など専門・技術的人材。国籍はベトナムが最多で、次いで中国、フィリピンが多い。
業種別では製造業が51・2%を占め、次いで教育・学習支援業、卸・小売業、宿泊・飲食サービス業など。特に技能実習生は、県内の14監理団体中13団体が縫製業団体のため、就業先が縫製業に偏っている。
外国人を雇用している企業の規模は「30人未満」47・9%、「30~99人」29・0%。8割が従業員100人未満の中小企業で、言葉の問題など外国人受け入れのノウハウを持たない企業が多いことがわかる。
深刻さを増す人手不足は高齢者の就労だけでは補いきれないため、同局と県は外国人雇用増に向けた政策パッケージを策定した。
まず、縫製業に集中している技能実習生を建設や介護、農業など他業種にも広げるため、監理団体の増設を各業界に働きかける。
さらに、昨春新設された特定技能労働者などの需要にも対応するため、企業への情報提供、外国人への就業支援などを積極的に進めることにした。
一方、秋田信用金庫(秋田市)も、ベトナムの人材会社東京事務所を通じた、ベトナム人材の紹介支援に乗り出した。
最終更新:3/5(木) 13:59
産経新聞