神戸市は2020年度、増加する在住外国人の支援に力を入れる。携帯型翻訳機を全区役所・支所に配置し、民間保育施設や児童館などへの導入も支援する。日本語がほとんどできない「ゼロ初級者」対象の語学教室を開講し、小中学校内の教室も拡充するなど、大人から子どもまでの日本語学習支援に力を入れる。
近年、神戸には日本語学校の留学生や技能実習生、在留資格を持つ技術者らが移住し、中国人は年間1500人、ベトナム人は同千人ほどのペースで増えている。ネパールやインドネシアから来る人も目立つ。昨年末時点で特別永住者の在日コリアンや華僑を含め136カ国・地域の4万9346人が市内に暮らす。
区役所はこれまで中央区役所にしかなかった携帯型翻訳機の全区普及のほか、来所目的など簡単な質問に答えていくと、必要な手続きが事前に確認できるサイト「KOBEスマートナビ」の多言語化を進める。
ゼロ初級者向けの日本語指導は難しいため、専門の日本語教師を配置。教室は神戸国際コミュニティセンター(KICC、中央区)で4月、ふたば国際プラザ(長田区)で5月に開講する。KICC内には市内の日本語教室間の情報共有などを支援するサポートセンターも新設する。
また、家族で来日する労働者も多いため、日本語指導が必要な児童生徒・保護者を支援する専門窓口を市総合教育センター(中央区)に設置。日本語能力などを確認し、転入先の学校との調整に応じる。
中学生が放課後に日本語を学ぶ「JSL教室」は神戸生田中学校(中央区)にあり、全市から生徒が集まるが、太山寺中学校(西区)にも拡充する。小学校も含め、日本語指導員の巡回派遣も試行する。
企業などに対しては、外国人従業員に中古住宅を改修したシェアハウスタイプの社宅を用意する場合、工事費の一部を助成する。
対外的には、多文化共生の取り組みを国内外にPRするため、欧州評議会の国際的ネットワーク「インターカルチュラル・シティー・ネットワーク」への加盟を検討中。2008年に設立されて世界136都市が参画し、アジア圏では浜松市が唯一加盟しているという。(上杉順子)
最終更新:2/27(木) 6:50
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