日本語能力に共通指標案 「基礎」から「熟達」6段階

日本経済新聞

日本語能力に共通指標案 「基礎」から「熟達」6段階

社会・くらし
2020/1/24 19:00

拡大する外国人材の受け入れを踏まえ、文化庁の文化審議会の作業部会は24日、日本語の習熟度を6段階で示す指標を大筋でまとめた。「話す」「書く」など5つの言語活動ごとに、各段階で何ができるかを提示。外国人が日本語を学ぶ場合の目安にできるようにし、企業が外国人材の日本語能力を客観的に把握するのにも役立てる。

出入国在留管理庁によると、2019年6月末時点の在留外国人数は約282万9千人。7年連続で増え、過去最多を更新した。文化審議会は今後、共通指標を精査し、21年度末に最終的なとりまとめをする。

指標はヨーロッパで主に使われているCEFR(欧州言語共通参照枠)を活用する。習熟度が低い順から基礎段階の言語使用者である「A1」「A2」、自立した使用者の「B1」「B2」、熟達した使用者の「C1」「C2」となっている。

各段階は「何ができるか」で定義づけている。「A1」であれば「具体的な欲求を満足させるための、日常的表現と基本的な言い回しは理解し、使える」などとされる。

さらに「読む」「聞く」「書く」「話す(やりとり)」「話す(発表)」の5分野ごとに、各段階でできることを提示。「A1」の「話す(やりとり)」は「自分や他人の住まい、知人、所有物などについて質問を受けたり、答えたりできる」「数や量、費用、時間を扱える」というレベルだ。

例えば接客業などで「書く」「読む」より「話す」「聞く」の能力がより重要な場合、外国人材を募集する際に「話す」は「C1」を求め、「書く」は「A2」でよいとするといった柔軟な使い方が可能だ。

共通指標は企業や業界、日本語教育機関、自治体などが事情に応じて「○○できる」という説明を加え、独自の仕様にもできる。

漢字の扱いも今後の検討課題だ。作業部会では「各段階で習得する数を定めるのは難しい」「漢字への一定の理解は必要で、方針を示すべきだ」などと様々な意見が出ていた。

文化庁は共通指標を各日本語試験に関連付ける方法も検討する。同庁によると、国内では日本語試験が約20あり、各試験が独自に習熟度を分けている。共通指標の6段階で示してもらうことで、学習者にも企業にも分かりやすい態勢を目指す。

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