茶需要期の商戦に入った。今年は消費増税が心配されたが影響は大きくはなかった。しかし家庭用でのリーフ需要の減少に歯止めがかからないのが現状である。家計統計の緑茶の1世帯当たりの年間支出金額は2018年3879円であった。2016年4168円、2017年4103円で、2018年は前年から224円減少し、2017年は前年から65円減少で、2018年で初めて4000円を切った。
100g商品の平均購入金額は2016年490.79円、2017年482.49円、2018年486.42円と落ちている。購入数量は2016年849g、2017年850g、2018年798gとやはり減少傾向を示している。
家計統計では国内家庭用需要減を示すデータであるが、全国の荒茶の生産は2018年の全国の摘採実面積は3万3300ヘクタールで、前年比500ヘクタール(1%減少)、荒茶生産量は8万1500トンで前年比4400トンで6%増加している。ドリンク需要と抹茶の増加がけん引している。
家庭用の商品形態は急須で入れるリーフ消費の減少と簡便性からティーバッグ、インスタントが増加している。また抹茶は加工用原料が増加。消費傾向からこの動きは続くと思われるが、リーフ消費の減少は一番茶をはじめ市場価格の減少を招き、後継者難もあり生産意欲の低迷、耕地の減少が主生産地の静岡県などに表れている。
一方、生産2位の鹿児島県は気候的要因と耕地が機械化しやすい平地での生産もあって全国生産の構成比が上昇、近年全国一の生産県になるものと思われている。
茶の輸出は米国、台湾、ドイツ、東南アジア諸国・地域を中心に2018年度は6.8%増の153億3334万円と政府の目標150億円を突破して過去最高になった。数量も9.9%増の510万2406kgと増加した。インバウンドを契機に和食ブームが追い風になり、需要が高まっている抹茶がけん引役になった。
平均単価は1kg当たり3005円と88円安であったが、比較的単価の高い抹茶が下支えしている。ただ抹茶は中国企業が粉砕式の大工場を中国国内で次々と立ち上げ、東南アジアでは宇治企業の模倣品を安い価格で販売しており、中国での宇治の商標権などとともに問題が発生している。
緑茶は健康志向からも飲み方は変化しても、需要は落ちることはないだろう。最近では抹茶に続いて、ほうじ茶が色と、香りから加工用原料としての需要が増加、またラテ風の飲用、海外では抹茶を点(た)てての飲用が普及してきている。ニーズの変化に合わせた提案、形態変化ではまだまだ拡大余地のある市場だ。
※日本食糧新聞の2019年12月13日号の「緑茶特集」から一部抜粋しました。
日本食糧新聞社
最終更新:12/17(火) 12:02
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