「海外旅行に行けないけれど食べたい」 機内食販売が人気 ANA、JAL
全日空の国際線のラウンジで提供されているチキンカレー=成田空港で2021年1月15日午後0時13分、中村宰和撮影
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、航空会社の機内食販売が人気を集めている。各社は「飛行機に乗って海外旅行に行けないけれど、機内食を食べたい」という旅客の要望に応えた。全日本空輸は2020年12月から「おうちで機内食を」とインターネットで3回販売し、いずれも数日で売り切れ、26日から新メニューを加える。日本航空は成田空港近くのレストランで提供を続け、1月には初めて海外での販売に乗り出した。 【カレー以外は?その他のおうちで機内食】 全日空は20年12月に国際線エコノミークラスの機内食を2回に分け販売し、いずれも数日で計1200セット(1万4400食)を完売した。1月18日発売の新春詰め合わせとご当地丼詰め合わせは、計2000セット(2万4000食)を翌日に完売した。全日空は「飛行機というある種の非日常を楽しみたいという思いがお客様にある」と人気の理由を分析する。 26日から洋食と和食の各詰め合わせを販売する。1セットはいずれも3種類の4食入りで9000円。洋食のメニューは、赤ワインで煮込んだハッシュドビーフ▽ビーフハンバーグステーキ デミグラスソース▽シーフードのトマト煮 バジル風味。和食のメニューは、牛すき焼き丼▽鶏唐揚げと彩り野菜弁当▽白身魚照焼き。 ほかにも、成田と羽田、関西空港の国際線のラウンジ(特別待合室)で提供するチキンカレーを販売している。鶏肉と野菜がゴロゴロと入り、家庭の味に近く、マイルドな口当たりで後味がピリッと辛い。機内食用の皿やカップ、プレートの販売も始め、今後は寝具など機内サービス品も加える方針で、業績が悪化する中、多角化による収益増につなげる狙いがある。 機内食の販売は日本航空がいち早く手がけた。20年7月から千葉県成田市川上の農家レストラン「DINING PORT 御料鶴」で提供を続け、同12月には同県多古町の道の駅多古あじさい館で販売した。中部空港のレストランでも販売している。成田と羽田の両空港のラウンジだけで提供するビーフカレーのネット販売を同8月に始め、門外不出の逸品と呼ばれる人気もあって4カ月で完売した。 日航は1月、シンガポールのレストランで、サーモンみそ焼きと鶏肉炊き合わせ卵の機内食2種類を期間限定で販売している。海外で初めての試みで、日航は「年々増加していた訪日旅行への興味を持ち続け、状況が改善した際には足を運んでもらえるように取り組んでいる。空の旅の楽しさを思い出してほしい」と説明する。日本の文化に触れてもらおうと、店内でシンガポール人の客室乗務員が風呂敷や折り紙を紹介し、好評を得ている。 このほか、成田市三里塚の機内食製造工場「ゲートグルメジャパン」は20年12月から、「気軽に機上のグルメを届けたい」と、西洋や中華、タイ料理の食材をネット販売している。国際線ファーストクラスの機内食を監修、調理しているシェフが商品開発に携わった。下ごしらえした食材を真空パックして提供し、湯煎するだけで簡単に本格的なコース料理を楽しめる。【中村宰和】