やっとまた学べるね 外国ルーツの子供たちに「にほんごひろば」 半年ぶり再開 香川

やっとまた学べるね 外国ルーツの子供たちに「にほんごひろば」 半年ぶり再開 香川
8/25(火) 9:47配信

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毎日新聞
再開した「まるがめ子どもにほんごひろば」で学ぶ子供たち=香川県丸亀市南条町の城乾コミュニティセンターで2020年8月22日午前10時4分、金志尚撮影

 外国にルーツを持つ子供たちが日本語を学び、地域における居場所にもなっていた「まるがめ子どもにほんごひろば」が、長期の休講を経て7月から再開した。香川県丸亀市の城乾コミュニティセンターで毎週土曜に開かれてきたが、新型コロナウイルスの影響で2月末から開けない状況が続いていた。待ちわびた再開を子供たちは喜び、運営を担うボランティアたちも気持ちを新たにしている。

 「センセーイ、こっちに来て!」

 8月下旬。ひろばを訪ねると、10人の子供たちが元気な様子で机に向かっていた。平仮名や漢字の書き取りなどに取り組み、分からないところがあると、ボランティアに声を掛ける。

 ひろばは学校の長期休みに開く形で2012年に始まり、15年から月2回、17年から毎週開くようになった。丸亀市内にはペルーやフィリピン、中国出身の住民が多く、その子供たちに日本語や勉強を教えたり、一緒に遊んだりする。学校や家庭に加え、地域にも居場所があることで子供たちが安心し、成長にもつながるという考えが活動の根底にある。

 ボランティアは年配の人が多く、慢性的な人手不足という課題を抱えながらも、19年秋には開講200回を数えた。その後も運営を続けてきたが、そこで降って湧いたのがコロナ禍だった。会場の城乾コミュニティセンターが使えなくなったこともあり、2月下旬を最後に休講を余儀なくされた。

 期せずして訪れた長い休み。しかしそれは一方で、ひろばの存在意義やあり方にじっくり思い巡らす時間にもなったという。

 「休みの間に会った子供から『いつから始まるの?』と聞かれました。この場所が心に残ってくれているのだと、うれしくなりました」。ボランティアの香川法子さん(70)はそう語る。安藤州一さん(71)も改めて思った。「(日本人と外国にルーツを持つ住民が)別々の世界に生きるのではなく、小さい窓口であっても、そこを通して互いに握手できるようにしたい」

 7月中旬から再開したひろばでは新型コロナ対策に留意し、これまでより広い部屋を使用している。以前は同じ机を複数の子供が囲んでいたが、今は長テーブルを基本的に1人で使う。そばでつきっきりだったボランティアも距離を意識して子供たちに接するようにしている。

 ◇置かれた立場、プラスに捉え生きる力に

 やり方は少し変わったものの、再開を子供たちも喜ぶ。両親がペルー人の小学3年、アキへ・カオリさん(8)は「久しぶりにみんなと会えてうれしい」と話す。同じくペルーにルーツを持つ小学4年、アトチェ・アキラさん(9)も「勉強を教えてくれたり、遊んだりできるのが好き」と笑顔だ。

 日本とは異なる文化的背景を持つ彼らが、自己肯定感を高めていくことも大切だとボランティアらは考えている。香川さんは「外国人であることや置かれた立場をマイナスではなくプラスに捉え、生きる力に変えていってほしい」と願う。単に日本語を教えるだけではない、そうしたことの一助になることもまた、取り組みを通して目指している。【金志尚】

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最終更新:8/25(火) 9:47
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