コロナで農家に実習生が来ない 人手不足を補うすべは
指宿昭一弁護士
■コロナ法律相談 回答:指宿昭一弁護士 新型コロナウイルスの感染拡大で、日本で暮らす外国人の生活も影響を受けています。どのような支援があるのでしょうか。読者から寄せられた相談などをもとに、弁護士に聞きました。(聞き手・根津弥) Q 日本人の農家です。新型コロナの影響で、毎年来ていた技能実習生の来日が見込めず、このままでは人手が足りません。 A 日本の農業は、中国や東南アジアから来る技能実習生が現場の働き手を担っているのが実情です。入国制限で実習生が来日できなくなり、人手不足に陥る懸念が生じています。 出入国在留管理庁(入管庁)は4月、日本にいる実習生の再就職先を探す支援策を打ち出しました。実習先の経営が悪化して仕事が続けられなくなった人について、農業や介護分野などに再就職をあっせんする計画です。コロナの影響で母国に帰れない実習生もおり、活用できそうです。 対象者には最大1年の「特定活動」の在留資格を与え、入管庁が農家や介護施設とマッチングさせるようです。受け入れを希望する農家や介護施設は、農協や福祉人材センターなどが窓口になっています。 これまで転職や移動の自由が無かったことを思えば、今回の支援策は従来の原則から大きく踏み出しており、一定の評価をできると考えています。 ただ、技能実習制度は国際貢献や技術移転が目的とされていますが、実態は企業が安価な使い捨て労働力を確保する手段になっています。本来は移民として受け入れて労働者の権利を保障すべきで、私は制度自体に反対です。コロナで今までの仕組みが立ちゆかなくなっている今、制度を根本的に見直すべきです。 ◇ いぶすき・しょういち 労働組合での活動を経て、2007年弁護士登録。外国人の労働問題や人権問題に取り組む。外国人労働者弁護団代表。 ■外国人向けの相談窓口やQ&A ・東京都外国人新型コロナ生活相談センター(やさしい日本語を含め14カ国語に対応) 0120・296・004。平日午前10時~午後5時。 ・新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A(多言語対応) https://covid19-labourqanda.jimdosite.com/ ・外国人技能実習生問題弁護士連絡会 03・6427・5902(東京)、011・231・1888(札幌)。いずれも平日日中のみ。 ・NPO法人「POSSE」外国人労働サポートセンター 03・6699・9359(東京)、022・302・3349(仙台)。いずれも平日午後5~9時、土日祝日午後1~5時、水曜定休。メールはsupportcenter@npoposse.jpへ。 ・法務省人権擁護局「外国語人権相談ダイヤル」 0570・090911(10カ国語対応)。平日午前9時~午後5時。ホームページはhttp://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken21.html ■質問を募集しています 新型コロナウイルスに関する問題に、記者が専門家に取材してお答えします。ご質問はQcorona@asahi.comにメールでお寄せください。 ※Q&Aの内容は、身近な法律問題について解決の参考となるよう、あくまで一つのケースを示したものです。個別の事情によっては、回答内容があてはまらないことがあります。
朝日新聞社