長引く新型コロナウイルス禍の中、母国を離れ日本で暮らす外国人はどんな思いを抱えているのか。福岡・九州の地域情報を多言語で発信している月刊誌「フクオカ・ナウ」(福岡市)が1~5日に福岡県在住の外国人にアンケートをしたところ、回答者413人の4割超が医療機関の受診に不安を抱えていた。収入が減少した人が約半数を占め、「コロナに関して外国人であることを理由に差別を経験した」という回答が約2割に上った。
アンケートはインターネットを使って英語で実施し、同誌のウェブサイトや会員制交流サイト(SNS)などで回答を呼びかけた。回答者の76%が21~39歳、20%が40~59歳だった。
言葉の壁などで日本の医療機関を受診するのが不安と答えた人は44%を占めた。同誌のニック・サーズ編集長は「この回答は予想以上に多かった。多言語対応できる医療機関は増えてきたが、外国人の増加に追いついていないか、多言語対応が知られていないということだろう」と話した。外国人として差別を経験した人は18%いた。「国際線がストップして国に帰れない」という回答もあった。
コロナ禍の影響で収入が減少したと答えた人は48%で、「4割以上減少」が28%、「8割以上減少」が17%だった。「この2カ月、収入がない。日本政府も自治体も何もしてくれない」(フリーランスの英語講師)という声もあった。
政府が打ち出した国民1人当たり10万円給付の対象に、日本に3カ月以上住む外国人(不法滞在者は除く)が含まれていることについては、97%が「知っている」と回答。ただ、9%の回答者が「申請の方法が分からない」と答えた。
サーズさんは「短期間で予想を上回る回答があり、声を上げたい外国人が数多くいると分かった。ウェブサイトで自動翻訳の情報を発信している自治体もあるが、まだまだ精度が低い。コロナのような命に関わる情報は、それぞれの国の言語で正確に発信する必要がある」と指摘した。 (坂本信博)
最終更新:5/12(火) 10:13
西日本新聞