コロナ苦境の“臨時収入”どう使う? 生活のため、経済のため

コロナ苦境の“臨時収入”どう使う? 生活のため、経済のため

5/1(金) 11:05配信

長崎新聞

 新型コロナウイルスの経済対策を盛り込んだ本年度補正予算が30日に参院本会議で成立し、国民1人当たり一律10万円の現金給付が決まった。暮らしと経済を直撃し、先行きが見通せない中での“臨時収入”。県民はどんな使い道を考えているのか聞いてみた。
大打撃を受ける飲食業界。五島市のスナック経営、橋口裕美さん(66)は現金給付に「全く足りない」とため息をつく。県の要請に従い4月25日から休業中。給付金と県からの協力金30万円を合わせても、家賃やカラオケ機器のリース代、光熱費など店の維持費ですぐに吹き飛ぶ。貯蓄を切り崩しながらの生活も「持って6月まで」。それ以降も状況が変わらなかったら…。「閉店」の一語が頭をよぎる。
東彼東彼杵町の主婦、久保田由佳子さん(40)は「非常にありがたい」と感謝する。夫が経営する美容室の収入は激減。しかし休業要請の対象ではなく、家計が逼迫(ひっぱく)していた。休校中で家にいる子どもたちのため、一日3食の料理に追われる毎日。「給付金も食費であっという間になくなると思う。子どもの給食だけでもあれば助かるんだけど」とぼやいた。
島原市の農業、川田豊一さん(68)は「よそと比べると(収入への)影響は少ない」としながらも、都市部への出荷量は徐々に減っている。給付金は「不安なので妻の分も合わせて貯金する」と答えた。一方で長崎市の自営業男性(44)は家族4人分の計40万円でソファやテレビ、炊飯器を買い替える予定。「最初は貯金も考えたが、経済を回すため消費する」と持論を語った。
政府は当初、減収世帯に30万円を給付する方針だったが、全国民への一律10万円に変更。これにより収入に影響がない政治家や公務員、生活保護受給者も含まれることになった。
自民党を中心に受給を辞退する国会議員もいるが、幸大助・長崎市議(63)は「市の経済活性化のため」と受給する意向。「飲食店を応援するためテークアウトを始めた店などを積極的に利用したい」と話した。
支援団体のサポートを受け、今年から長崎市で暮らし始めた生活保護受給者の男性(46)は「10万円で洋服や家財道具をそろえたい」としながらも、「全国民にばらまくより、別の使い方がいいような気もする」と複雑な表情を見せた。
住民基本台帳記載の全員が対象のため、在留外国人も受給できる。諫早市で働くベトナム人技能実習生、ター・ティ・トゥ・チャンさん(21)は半額を母国の家族に送金予定。「ベトナムでも感染が広がり、健康や生活が心配」と思いやった。

 

最終更新:5/1(金) 11:05
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