新型コロナウイルスの緊急経済対策として、政府は一律10万円を給付する特別定額給付金の概要を決めた。曲折を経た肝いりの施策だが、国内には給付の対象とならない人たちがいる。住民基本台帳に登録されていない短期滞在者や、非正規滞在の外国人だ。渡航制限で日本から帰国できないなど事実上、国境が封鎖される状況下、こうした人たちは経済的困窮に陥りつつある。感染者が日々増加する中、外国人の支援団体は「人権面からはもちろん、感染リスク低減のためにも、すべての人に給付すべき」と訴えている。
「3月以降、相談に訪れた人のうち、15人以上のホームレス状態にある難民申請者に対応した」。難民を支援する認定NPO法人難民支援協会(東京都)の石川えり代表理事は嘆く。感染リスクにさらされる路上生活を避けるため、協会は宿泊費を負担し宿を提供している。
緊急事態宣言に伴う経済停滞の中、協会への相談では3月から「仕事が減っている」といった生活に直結するものが徐々に増加している。一方、難民認定申請から8カ月未満の人や、難民認定申請中であるものの在留資格を失った人たちは特別定額給付金の対象外となる。受給資格があっても日本語で手続きできない人や銀行口座がない人もおり、配慮が必要となる。
「難民申請者は最低限のセーフティーネットからも漏れた脆弱(ぜいじゃく)な立場。そうした人たちが命の危機を乗り切るための支援から漏れることは問題だ。線を引くべきではない」。石川さんはこう述べ、対象外の人へも給付するよう訴える。
神奈川新聞社
最終更新:4/23(木) 11:10
カナロコ by 神奈川新聞