国内で働く外国人労働者(約165万人)のうち、3割が都内に集中していることが東京労働局のまとめで明らかになった。23区内に拠点を置く事業所や日本語学校などが多いことが要因とみられる。地方からの人口流入や企業の本社移転とならび、外国人労働者でも東京一極集中が進んでいることが浮き彫りとなった。
労働局によると、令和元年10月現在、全国では165万8804人の外国人労働者が働いている。そのうち、都内で雇用の届け出が出された人数は48万5345人に上り、全体の29・3%を占めた。前年同期比では4万6570人(10・6%)増え、平成19年に届け出が義務化されてから最も多かった。
背景には、企業や団体の集中がある。外国人を雇用する事業所は都内に6万4637カ所あり、全体の26・6%に上る。労働局の担当者は「東京は人口やその他の指標では全国の1割程度を占める。外国人労働者が3割に達するのは驚きで、事業所が極端に集中しているといえるのではないか」と述べた。
また、日本語学校の存在も大きいという。留学生ビザを所持して働く人は都内で14万7千人おり、外国人労働者の3分の1に達する。学業の傍ら、近くの居酒屋やコンビニエンスストアなどでアルバイトするケースが目立つという。学校は主に23区内に集中しており、全体の数を押し上げたとみられる。
留学生の半分、約6万人がベトナム国籍だ。都内で働くベトナム人のうち、留学生は7割を占める。ベトナムでは小学校から日本語の授業が導入されるなど、日本語学習熱が高まっている。労働局によれば、留学を入り口にそのまま日本で就労する人も少なくないという。
外国人労働者を国籍別にみると、中国が16万6千人で最も多く、ベトナム(8万4千人)、韓国(3万8千人)と続いた。中国が3割以上と圧倒的なボリュームを占める状況はここ数年変わらないが、伸び率は横ばいだ。代わって、インドネシアが急伸。実数では6105人に過ぎないものの、前年同期比では22・0%増だった。
昨年4月、改正出入国管理法が施行され、外国人労働者受け入れ拡大のため新在留資格の「特定技能」が創設された。介護や建設業、外食業など受け入れ幅は広い。労働局の担当者は「都内にはビルクリーニングや外食業に従事する外国人労働者の流入が続きそうだ」と語った。
最終更新:2/6(木) 7:55
産経新聞