加賀市の錦城能楽会が、市内在住の外国人留学生を対象とした勉強会を開始した。伝統文化に理解を深めるとともに地域への愛着を育んでもらおうと、同市に相談して昨年11月から定期開催の運びとなった。アジア出身を中心とした生徒たちは謡曲などに果敢に挑戦している。教える側も発表会を最終目標に掲げ、能楽を通じた心の交流に手応えをつかんでいる。
勉強会は錦城能楽会の沢村政昭副会長(68)が講師を務め、市から紹介された専門学校アリス学園加賀校(加賀市)の日本語学科の生徒を対象に月1回開催する。20日はインドネシア、タイ、ベトナム出身の1年生17人が能楽の歴史や構成を学んだ。
沢村さんは能楽のイメージを把握しやすいように舞台の映像を見せた後、舞や謡(うたい)、笛や鼓を使った囃(はや)子(し)などを紹介した。生徒は「高砂」の謡にも挑戦。独特の抑揚やリズム、息継ぎに苦戦しながらも笑顔で声を響かせた。
昨年4月に来日したインドネシア出身のスリ・スワルダニさん(24)は「地元のバリ舞踊と似ている部分もあり、異文化に触れるいい機会になる。実際の能楽も鑑賞してみたい」と声を弾ませた。
加賀市はかつて「空から謡が降ってくる」といわれるほど能楽が盛んだったという。能楽会はアリス学園を皮切りに、外国人が勤めている市内企業などにも勉強会を広げていくことも考えており、沢村さんは「能楽を新鮮な気持ちで楽しんでくれればうれしい。担い手の増加につなげていきたい」と話した。
北國新聞社
最終更新:1/21(火) 1:43
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