[7日 ロイター] – 2019年のアジア株式市場では、海外勢の買い越し額が3年ぶりの高水準に達した。米中貿易戦争に対する懸念が緩和したことや、米国の金利低下が寄与した。
アナリストは、アジア経済の回復を背景に2020年も海外資金の流入が続くとの見方を示している。
インド、インドネシア、フィリピン、韓国、台湾、タイ、ベトナムの証券取引所のデータによると、海外勢は2019年に234億7000万ドル相当のアジア株を買い越した。
金融サービス会社IGの市場アナリスト、Jingyi Pan氏は「リターンを求める投資家が、引き続き高リスク資産に投資した」と指摘。
国別では、インド株に147億ドルの海外資金が流入。2014年以降で最大の買い越しとなった。台湾株、インドネシア株もそれぞれ60億ドル、35億ドルの海外資金が流入した。
DBS銀行によると、インド政府が海外のポートフォリオ投資家に対する追加税を廃止したことや、好調な国内株式市場が資金流入を促す要因となった。
タイとフィリピンは、小幅な売り越しだった。
海外勢は、12月に29億2000万ドル相当のアジア株を買い越した。米中は同月、第1段階の通商合意に至った。
ゴールドマン・サックスは「2018年は高値から安値に下落する間に500億ドルが流出したが、(海外勢は)その半分しか買い越していない。海外機関投資家の累積のフローは長期トレンドを400億ドル以上下回っており、一段の回復余地がある」と述べた。
MSCIアジア太平洋株指数(日本を除く)<.MIAPJ0000PUS>は2019年に16.3%上昇。2020年は年初から0.4%値上がりしている。
IGのPan氏は「米中貿易問題など、2019年から引き継いだ問題には比較的明るい兆しがみえる。アジア株には今後も海外資金が安定して流入するだろう」と指摘。「大半のアジア諸国は景気が緩やかに回復するとみられ、アジアの明るい見通しは維持されるはずだ」と述べた。
最終更新:1/7(火) 19:41
ロイター