台湾沖の魚、6新種発見 深海魚など、市場で調査 高知・黒潮生物研の小枝さん

台湾沖の魚、6新種発見 深海魚など、市場で調査 高知・黒潮生物研の小枝さん

1/8(水) 7:32配信

時事通信

 台湾南部沖に生息する魚類を調べ、新種を6種発見したと、黒潮生物研究所(高知県大月町)の小枝圭太研究員(33)が7日までに国際動物学誌ズータクサに発表した。

不気味な黒っぽい深海魚「ホテイエソ」の仲間や、ナマコなどの体内に隠れる「カクレウオ」類の一種などさまざまで、いずれも生態は謎に包まれている。

小枝さんは「生物多様性の高さにびっくりした。台湾南部沖では深海魚の研究がまだまだ進んでおらず、今後も新種が見つかると思う」と話している。

小枝さんは琉球大でダイビングを始め、浅い海の魚類を研究して大学院で博士号を取得。日本学術振興会の海外特別研究員として昨年3月まで2年間、祖父の故郷である台湾に滞在し、海洋生物博物館で何宣慶副研究員(東華大副教授)と共に台湾南部沖に生息する魚類の調査に取り組んだ。

調査は魚市場に出かけ、漁網で捕らえられた多様な魚をえり分けるユニークな方法。白く細長い新種「オヌクソドン(和名シンジュカクレウオ属)・アルボメテオリ」(体長約10センチ)は「市場の床に落ちていたのを偶然見つけた。踏みつぶされなかったのは奇跡的」と小枝さんは話す。

日本沿岸にも生息するアンコウ類の一種「ゴマフウリュウウオ」と思った魚は、腹にこぶがほとんどないほか、口の先のとげが前方へ突き出ており、新種「マルソプシス(フウリュウウオ属)・フォルモサ」(約5センチ)に分類した。海底で腕立て伏せのような姿勢を取り、小さな甲殻類などを食べているとみられる。

ホテイエソの仲間のうち、ダイニチホシエソ属は大西洋を中心に100種以上知られるが、太平洋ではあまり調べられていない。小枝さんらが植物のランにちなんで「ユーストミアス(ダイニチホシエソ属)・デンドロビウム」と名付けた新種は体長約12センチ。下顎付近から伸びる短いひげの先が房飾りのような形で、小さな発光器が多数付いている。

役割は解明されておらず、小枝さんは「エビや小魚をおびき寄せて食べているか、敵が来たら光を消して姿を隠し、逃げているのかもしれない」と話した。

2年間の調査で小枝さんが見つけた新種は計9種となり、成果は約1400種掲載の「台湾南部魚類図鑑」(台湾で出版)にまとめた。

最終更新:1/8(水) 14:14
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