技能実習生などで来日した外国人が集まる精肉店「肉のデパートマルヨネ本店」(神戸市長田区二葉町2)が活況だ。同店が取り扱っている安価で豊富な種類の肉や内臓が、中国やベトナム出身者が作る郷土料理に欠かせないからだ。毎週の土日、仕事や学校の休みを利用したベトナム人らが買い物に訪れる。さまざまな言語が飛び交い、活気に満ちた店内は、外国人が日々増加する今の日本を象徴している。(杉山雅崇)
同店は1955年創業の老舗。同市中央卸売市場から神戸牛や但馬牛などを直接仕入れており、2019年現在、県内に計6店舗を展開する。
本店に外国人の来客が増え始めたのは数年前から。専門学校に通う留学生や、技能実習生として働く多くの中国人やベトナム人がやって来るようになった。
彼らの目当ては牛の骨付き肉や豚の内臓だ。鍋で煮込んでだしを取ったり、炒めたりして、ベトナムや中国でよく食べられているスープや肉料理をそれぞれのレシピに沿って作るのだという。
ベトナム出身で、市内の専門学校に通うホー・ウンクンさん(23)は骨付き肉を1キロ以上購入。「1カ月に2回は来る。故郷のベトナムでは、骨付きの肉を煮込んだスープをよく食べる。ここの肉を使うとおいしい」と話す。
店内に並ぶ肉は約100種類あり、米清治郎社長は「豚の子宮や心臓など、これだけ生の内臓が売っている肉店はない。それを買いに大阪や姫路からも外国人が来店する」と、忙しそうに肉を切りながら教えてくれた。
外国人同士の口コミで評判が広がり、にぎわう店内。同店の米政範店長は「自分たちの肉で、日本で元気に暮らしてもらえたら」と話した。