安倍晋三首相は23日午前、東京・元赤坂の迎賓館で、「即位礼正殿の儀」に参列するために来日したブルネイのボルキア国王と会談した。ボルキア国王は、東京電力福島第1原発事故を受け、同国が続けてきた日本産食品の輸入規制を完全撤廃する方針を首相に伝えた。実際に撤廃されれば、原発事故後、輸入規制措置を講じる国・地域は当初の54から21になる。政府は、ブルネイの決定で規制緩和の流れが国際社会で一段と強まることに期待を寄せている。
ブルネイはこれまで、福島県産の食品に対し放射性物質検査証明書を、福島県産を除く日本産食品には産地証明書を求めてきたが、これらの規制措置をすべて撤廃する。外務省幹部によると、即位礼正殿の儀に合わせたブルネイの規制撤廃はボルキア国王が主導したという。
政府はブルネイを含め輸入規制を設けた諸外国に対し、食品の安全性を科学的に説明し、首脳レベルで規制の撤廃や緩和を強く働きかけてきた。
その結果、今年は3月にバーレーン、6月にコンゴ民主共和国が規制を撤廃。5月にはフィリピンのドゥテルテ大統領が福島県産の4種類の魚を対象とした輸入停止措置の解除方針を、6月には欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長が放射性物質検査証明書提出の義務付け対象から福島県産の大豆などを除外する方針を、それぞれ来日時に首相に伝えた。
首相は24日、科学的に安全性が証明された福島県を含む8県産水産物の輸入規制などを継続している韓国の李(イ)洛淵(ナギョン)首相と会談する。日本産食品の輸入規制を撤廃する国がまた一つ増えたことで、改めて韓国側の姿勢や李氏の対応に注目が集まりそうだ。
最終更新:10/23(水) 12:16
産経新聞