リーチ・マイケル主将のリーダーシップ、最年長トンプソン・ルークの低いタックル、具智元の鬼スクラムと涙…。海外出身選手の献身的なプレーに、試合ごとに31人のうち15人が外国人出身というラグビー日本代表への違和感が薄らいでいる。国籍の壁なく、日本代表として強い思いで体を張る。ラグビーがグローバル化、ダイバーシティー化していることが認知された今秋、大学ラグビーの伝統校にもその流れが広がってきた。
【写真】同大との定期戦で伝統のタイガージャージーを着てプレーするイサコ・エノサ
1899年(明32)創部の“ルーツ校”慶大蹴球部に9月、ニュージーランドからの留学生2人が入部し、今日20日、帝京大との練習試合に先発出場する。入部したのはアイザイア・マプスア(18)とイサコ・エノサ(19)。ニュージーランド最大の都市オークランドの名門校キングスカレッジ高から9月18日、アイザイアは総合政策学部、イサコは環境情報学部に入学した。ロック、NO8のアイザイアは193センチ、107キロ。CTBのイサコは183センチ、106キロ。海外出身の日本代表並みの体格で、練習でも一際目立つ。
今春、慶大のヘッドコーチ(HC)に就任した元日本代表の栗原徹HC(41)は「慶応義塾がグローバル化を推進する中で、留学生向けの試験を受け、入学してきた学生がラグビー部に入部することは何ら障害はないのではと思った。自身の経験でも外国の選手と一緒にラグビーすることで人間的にもスキル的にも成長できた実感があった。学生たちにそういう環境をつくれたらと思っていた」と話す。スポーツ推薦など特例措置はないにもかかわらず、OBの尽力で文武両道で慶大受験にチャレンジしたいという2人が見つかったという。4月には韓国出身の留学生も1人、入部している。
「彼らは、日本代表ではありませんが、誰よりも慶応のために体を張ろうという姿勢が見えます。その思いに感銘を受けています。加入してくれて良かったと思っています。(他大学からは)みんな『どう?』『どう?』って聞いてきます。アイザイアやイサコたちが卒業する前に他の伝統校にも留学生が入っているかもしれません」(栗原HC)。
1980年(昭55)に大東大にホポイ、ノフォムリのトンガ人留学生が入学して約40年。日本代表の快進撃に大学ラグビーも大きく変わろうとしている。【中嶋文明】
最終更新:10/20(日) 13:57
日刊スポーツ